ブラウン・イワナの類は比較的定住性・定食性が強く、ニジマスは回遊型・雑食性で何でも食べると言われています。
以前から胃の内容物を調べると、ブラウンのケースではワカサギだけが腹が張り裂けるほど入っていたことがあったり、あの臭くて嫌われ者のカメムシがぎっしり詰まっていたこともあります。
また神社下で釣り上げた魚の中からはどういうわけか、カワニナ(淡水に住む巻き貝でカラの高さは約3cm,ホタルの餌として有名)が10数匹とそれに似た小石が入っていたことがあります。
ごく最近では立石で13cmミノーに掛った超特大ブラウンからは20cmクラスのニジマスが3匹出てきました。
以前に釣れた今までの記録魚だった大型ブラウンのお腹の中からも同サイズのニジマスが2匹、ブラウンが1匹、今でもその内容物は漁協にホルマリン漬けになって保存されています。
また定住性については、ワカサギの刺し網 漁師が同じ所 へ仕掛けた網 から同じと思われるブラウンやイワナに毎日のようにワカサギを食いちぎられたり、大切な網を破られたりという被害があり、特にイワナについては漁師からの要望で漁協が放流を止めた経緯もあるくらい定住性・定食性が強いのです。
大川さん(故人)という漁師は毎朝網上げの際に、船のすぐ近くで外れたワカサギを喰いあさるイワナに腹を立て、ルアーロッドにワカサギ餌をつけ、船の数メートル後ろを流し釣りをしながら、自分の網掛け場付近のイワナを退治したという話もあります。
また皆さんの中にも同じポイントから同じブラウンが何回もチェイスしてきたりとか、トローリングなどでは同じ岬の岩場を掠める度に同じ場所でヒットするといった経験は誰でも持っていることと思いますし、何の根拠も無い沖合いでもピンスポットのように同じ様な場所から同じ魚種が釣れて来ることがあるといったところからも、ブラウン・イワナは定住性・定食性の強い習性があると言えます。
それに比較すると二ジマスはまったくの雑食性で、その内容物も種種雑多です。小さい鱒が大きなワカサギを食べているかと思えば大きな鱒が細かいユスリカをぎっしり捕食していたり、変り種では大きなポークカツが2切れも入っていたりしたこともあります。
根掛りをしたワームからタバコの吸殻、輪ゴムやちぎれたビニール袋の切れ端まで何でも食べてしまうが故に、そうした異物が内臓に詰まり死んでしまうというケースも多々あります。皆さんが釣ろうとしている魚が皆さんのの不注意で水中に落としたゴミで死んでしまうようなことがないように、何処のフィールドに於いても日頃からゴミをひろい上げるような意識が必要です。
回遊性についてはまだニジマスがあまり放流されていない昔に、元箱根湾から放流されたニジマスが4日後に湖尻湾のワカサギの刺し網に掛ったという記録もあります。また最近についても放流した場所に以前にも増して滞留する時間が短くすぐに回遊してしまったり、明らかに放流したての鱒が数日で水深20メートルのトローリングで釣れたりと、以前よりニジマス釣りも難しくなっています。
ヒメマスは本来プランクトンイーターといわれていますが、胃の中にはワカサギなども入っている事がありますし、かなり大きなスプーンやミノーにも釣れてくることから必ずしもプランクトンイーターとは言い難いので、ルアーのセレクトには一捻りしなくてはなりません。
近年トローリングなどで話題になっている稚魚放流の、ホンマス・アマゴでは小さいうちから驚くほどの食欲で、陽気の良い時などは近くの餌を手当たり次第に捕食しています。
15cmにも満たない幼魚がワカサギの親魚を頭から丸呑みにして、咥えきれずに口から尻尾を出したまま泳いでいる光景などは何度となく見掛けます。
その貪欲な食欲が僅か1年程で40cmオーバーの美しい魚体に成長させるわけですが、同時にその貪欲さが釣られ易いということにもなるわけです。
今年もかなりの数の稚魚が放流されていますが、釣り人の皆さんが体長制限、小さい魚のキャッチ&リリースを守るだけで2年もしないうちに50cm以上の美しい魚体にお目にかかれる確立がグーンと高なると言うわけです。
是非、釣りを愛する皆さんが「自分達のフィールドは自分達で守り育てるしかない」という姿勢を持って釣りを楽しんで欲しいものです。
なお、芦ノ湖ではワカサギの湧きが多いと、イワナ・ブラウン・ホンマス・アマゴなどは成長するにしたがって必然的に魚食性が高くなることを付け加えておきます。
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