フライハーリング

■フライハーリング

フライタックルをキャストせずに、ラインを25m前後出して、ボートで引き釣り(トローリング)する事をハーリングといいます。
4月下旬から5月上旬にかけて、マスたちが水面のユスリカやカゲロウなど様々な虫類の餌につられて沖の表層を漂います。更に水温が上昇してくると岸辺の高水温を避け、いつでも適水温の水深まで行き来できる沖の表層で餌を捕食する時期があります。そのような時期に魚を見つける手段として、又、巧くフライキャスティングの出来ない人に有効な釣りの手段です。

通常はローボートやモーターボートでゆっくり岸辺よりやや沖目をトロールしながらよく釣れた場所、アタリの多くあった所を覚えておくようにし、魚の居場所が掴めたらボートを止めてキャストするようにすればよいのです。
ラインの選択は、(フローティングラインからエキストラファーストシンキングライン迄各種)魚の沈み具合によって変えますがハーリングの場合ではラインの沈み方はキャスティングの時ほど顕著に差はつきません。例えばタイプ1とタイプ4を同時ハーリングしたとして、速度にもよりますがその差は1mと開かないでしょう。
むしろヒット率が微妙に違ったとしたら、フライの良し悪しの要因の方が大きいと思われます。とは言ってもフローティングラインとシンキングラインのタイプ4では大分違ってきます。
ライズも多く魚が水面に広範囲にばらついている時などは極まれにフローティングラインでハーリングすることもありますが、使用フライはハンピーやローヤルウルフなど水の抵抗でいつまでも水面で水を切って浮いている物を使用します。
この釣りは一時期しか出来ませんが、フライにアタックしてくる魚の姿が見えて、とても面白い釣りでもあります。

逆にライズも無く水面が静まり返っている時などはタイプ4をデッドスローで曳くこともありますが水面下5m位までは探れますが、それ以深の引き釣りはレッドコアかシンカーを使用したトローリングになるでしょう。 
    
ハーリング釣りをする際には、ロッドホルダーの使用をお勧めします。ハーリングといっても釣れて来る魚種・漁体は変わりません。時には超大物も釣れる事があり、魚に高価なタックルごともっていかれてしまった、という事はしばしばあります。ドラッグの調整は勿論ですが、ロッドホルダー(竿掛け)の付いていないボートでは、ロッドとボートを繋ぎ止める尻手ロープを結んでおくとよいでしょう。

ローボート(手漕ぎボート)のハーリングではヒットした時の合わせが難しくなります。
ヒットしたらまずオールで水面を強くひと掻きし、ライン・ロッドにテンションをかけたままロッドを取ってもう1度合わせます。
後は通常と同じように魚の動きに合わせて素早くラインを手繰り、魚を寄せてランディングします。
魚が40cm~50cm以上の大物なら最初から手で手繰らずにリールでやり取りするようにします。
魚はロッドの長さ2~3本の距離に近づいた時にボートや人影を見て再び逃げようとして走ったり、飛び跳ねたり最後の抵抗を試みます。この時のやり取りが一番肝心で、特に大きな魚を手繰り寄せた時は足元のラインがボートのどこかに挟まっていないか、自分の足で踏んでいないか注意し、魚の走った時にはラインを何時でも出せるようにし、ロッドのしなりを充分に利用してラインブレイクを防ぐようにします。

その他にもモーターボート利用の場合にはニュートラルにしてスクリュウの回転を止めるとか、船縁の金属のささくれにリーダーを当てないようにするなど細かい注意も必要になります。

フライの醍醐味や面白さは勿論キャスティングに尽きますが、併せてハーリングも熟知しておくと、湖の中の様子が更に拡大して見えてきますよ・・・・。