釣りと光

■釣りと光りの関係

水中では

物が見えたり、色を感じたりするのは光の反射によるものですが、水深の深いところでの見え方は人間の目と魚の目ではどう違うのでしょうか。
通常は紫外線より赤外線の方が深いところまで光を透すので、水深の深い所では赤や金系の方が目立つと言われています。
芦ノ湖で事あるごとに潜水してもらっている大場さんという地元のベテランダイバーに聞いてみると、透明度の高い時で水深15mでは4~5m、20mでは2~3m、30m以深になると真っ暗で、素手の状態で手の指先がやっと見える程度だそうです。
また湖底に沈んでいる物の中では白い物程良く見えるそうです。
芦ノ湖のトローリング圏内の水深では、どうやら人間の目には白っぽい色のほうがよく見えると言うことになりそうです。
かつて真夏の深場狙いのトローリングで大ブレークしたカラーは、スプーンではジョンソンスプライトのブルーや、ジョイントラパラ7cmのブルー、アワビスプーンなど白っぽい方が多かったような気がします。
赤がヒットしたのはルアーの種類が現在ほど多くなかった頃、唯一スプーンでオークラのコパー台に赤という時がありましたが、それ以外にはあまり記憶にありません。
最近では本来は見えにくいはずの透明に近いOX角ルアーなどがむしろヒットしている所を見ると、暗い水中で見えにくいルアーを見分ける能力は人間の目より魚眼の方が遥に勝っていることが分かります。
ここでは赤外線説もあまりあてはまらないということになります。
トローリングルアーのカラーセレクトを今一度根本的に考え直すのも面白いですね。

順光線と逆光線

順光と逆光では当然見えやすいのは順光ですが、魚釣りにはどのような影響あるのでしょうか。
動く物になら何にでも飛びついてしまうような学習をしてない魚には、順光の方がルアーやフライを発見しやすはずです。
ルアーやフライは遠くから見えて早く発見されたほうが有利ですが、学習をしている魚にはルアーの不自然な形や動き、針やラインにいたるまで一部始終が見えてしまい、芦ノ湖のような透明度の高い止水では魚にしっかり観察されてしまいます。
それが魚に考える時間を与えてまうことになります。
その点、逆光なら動いているということだけがアピールされて他がファジーになれば考える暇もなく本能的にルアーやフライに飛びつくという率が高くなるというわけです。つまり、場所や条件にもよりますが、できれば太陽を背にしての釣りが有利になるということになります。
デメリットとしては朝・夕の影が長い時、自分の影やロッドの影が湖面に映ってしまい魚を驚かせてしまうことでしょう。太陽を背にして岸辺に立つ時は特に注意するように心がけます。不用意に影を落とすと、まず岸辺の小魚が影に驚いてパニックをお越し、それが次々と沖の本命の魚にまで伝染してしまい警戒心を起こさせてしまうからです。

順光・逆光の関係は、浅引きのトローリングやハーリングの際にも当てはまります。
よく同じ所を往復して流している時、一方向(往路のみ叉は復路のみ)しかヒットしない時がありますが、これらも光や水流の影響を受けているわけです。
その他、晴天のべた凪では釣り人からも魚がよく見えるわけですが、魚の方からも恐ろしい人間の影が丸見えになってしまうために釣りにくくなるわけです。
逆に言えば、このポイントにはどれくらい大きさの魚がどれくらい居るかを見るのには絶好のチャンスとなるわけです。
そうは言ってもやはり曇っていたり、水面の風波による乱反射などにより釣り人の存在を魚に気付かれない方が警戒心も薄くなり釣りやすいということになります。
俗に言う朝・夕マズメなど、海外でもモーニングライズ・イブニングライズと言って釣をするには絶好の時間帯とされていますが、ここでも光の明暗が大きく関係してくるわけです。
ルアーの特定の色によくヒットするとか、フライの色を変えた途端にヒットしたとか、これらも全て光に関係していることです。
名人と言われる釣り人にとり、光とルアー・フライの関係を追求していくこともこの釣りをより奥の深いものにしてくれる要因の一つとなるはずです。