フライリーダー

■フライフイッシングに於けるリーダーの大切さ

フライ

「魚に一番近い所から大切にしなければならない」という事は他でも述べてある通りです。
餌釣りなどに比べて遥かにヒット率の少ないルアーやフライ釣りでは、数少ないチャンスを効率よく確実にモノにしなければなりません。その為にはまず、魚に一番近い所、つまりハリ先がしっかりと口元に刺さるように常にポイントが鋭く尖っていることが必要です。
芦ノ湖など透明度の高い止水域では、フライのシルエットの中でどうしても露出を避けることの出来ないゲープ部分の発するほんの僅かな不自然な光や、不自然な形状が魚に違和感を与えてしまい、かなりの率で魚のヒット率を下げてしまいます。
また、誰もが体験している釣り場の光景で、周りの釣り人が誰も釣れてないのに、どう見てもあまり上手そうに見えない釣り人が1人だけガンガン釣っている所を目撃した人は少なくないと思います。
それは、その釣り人が良いポイントに当たったということもあると思いますが、多くの場合はその人の使っているフライの完成度が高いのです。従って初心者では特に魚に一番近いところにあたるフライのセレクトが重要となるのです。最初は実績があり信頼の置ける喰いの良いフライを買い求めるか、ベテランフライマンのフライを頂くかして使用することをお勧めします。

リーダー

そして、次に魚に近い所に当たる大切な部分がリーダーと言う事になる訳ですが、一般的に言えばフライリーダーの役目はフライだけが魚に対して単独の物体に見えるように、出来るだけ細くて水色や環境に同化して魚に見えにくく、更に魚の重さやファイトに耐えられる強度を持ち合わせる事が必要です。
ほとんどの釣り人は、色々な場面で大きな魚を掛けてもリーダー部分のラインブレイク(糸が何らかの原因で切れてしまう事)によるバラシによって悔しい思いを繰り返し、やっと気づくのが普通です。
その事故のほとんどがラインとリーダーとティペット、ティペットとフライの結束部分のラインブレイクなのです。
まず、リーダーやティペットを買い求める時の注意としては、信頼のあるメーカーの物であること。
よく売れている(商品の回転している)店でパッケージの新しいものを選んで買い求める事をお勧めします。
買いたてのラインでもショップで長時間陳列されていた物では劣化していることがあるからです。
惜しんで古いラインを使用しても同じことが言えます。古いラインは使用する前に強度をチェックする必要があります。
ラインの先から30cm程のところに一重の結び目コブ作って左右に引っ張ります。簡単に切れてしまう物は使えません。
思い切って処分するようにしましょう。
そして、芦ノ湖のような澄みきった湖ではラインのカラーにも注意が必要です。派手な蛍光色などは避け、グリーンやブラウン系など、紫外線が当たってもあまり光らずに水の色に溶け込むようなものがよいでしょう。

野崎茂則のリーダーシステム

私のリーダーシステムは下図のようになりますが、ここで一番肝心なことは締めこみ方です。
結びの方法は同じでも、締め込みが足りないと結束強度が極端に変わってしまいます。
上手く締めこんだ3x位のラインの結束部は手で切る事は出来ないはずです。
細いラインを使用する場合でも切れるまで引っ張ってみて、その強度を体で覚えるようにします。
その上で魚とのファイトをすれば事故は最小限にくい止めることができるはずです。
このように大きな魚を釣り上げるためにはリーダー部分の大切さが必要不可欠なのです。

鮎釣りにおけるリーダーシステム

更に繊細な釣りである鮎の友釣りでは、極細の糸を使いこなせるか否かで歴然と釣果が変わってきます。
囮鮎から水中糸にかかる水流抵抗を極限まで下げ、鮎に負担を掛けず泳がせる為に0・08号と言う極細糸を使用するわけですが、その弱いラインの取り付け部分の強度を100%近く引き出す為にその部分を編み込みにするなど、大変な工夫と努力をしています。

大物のリーダーシステム

大きな魚体では50キロにもなるというジャイアントトレバリーなどを海岸からのキャスティングで釣る釣でも、大きく重いルアーを出来るだけ遠くに遠投するためや、足元のリーフによる根ズレが原因のラインブレイクを防ぐためにリーダー部分には特に色々な工夫がされています。遠投するためにはモノヒラ部分を30ポンド程の抵抗の少ないラインを使います。キャスティング時のルアーの重み、根ズレに対する強度を出すためにはリーダー部分には100ポンド前後のラインを3メートル。更にその先に200ポンドラインを1・5メートルなどと、これもまたビミニツイストやフィッシャーマンズノットなど、色々な方法を駆使します。
取り付け後に50キロの負荷に耐えられる強さを体感するために、スプリング秤りに掛けて引っ張り体に覚えさせてから初めて釣りに臨むのです。
このようにフライやルアー釣りに於いてもライン、特に結束部の強度は多少ラインを無駄にしても、結んでは切り、結んでは切りして、その強度を体に叩き込む事が必要なのです。
その他に、大きい魚を釣り上げた後ではフックのチ元が魚の歯で傷んでいないか、ティペットの部分にウインドノットができていないか等、時々チェックする習慣をつけるようにします。
応用で、ウインドノットが出来た時は交換することがベストですが、時間の無い時などでは、結束の時の要領でノットが出来た部分を更に締めこんでみて、切れなければそのままでもかなりの強度は保てます。

初期のリーダシステム

私の場合ですが、初期にはシンキングの釣りが主流ですので、リーダーは比較的短目です。
ロッドは湖用に一番適した8番8.6フィートを使用していますので通常は8番のラインを使用します。
スローシンキング~エキストラファーストシンキングまで3~4種類を状況に合わせて使い分けます。3x 7.5フィートのリーダーを上図のようにネイルノットで取り付け、その先に4Xのティペットを40センチ前後ブラッドノットで結び、フライの結びは主にクリンチノットでしっかりと結びます。
フライの動きを重視する時にはユニノットにする事もありますが、クリンチノットに比べて強度が落ちますのでほとんどクリンチノットで済ませています。
また魚が小さい時・喰いが落ちた時などは更にその先に5xのチペットを3~40センチ継ぎ足すようにします。
リーダーは頻繁には交換しません。傷んだ場所からカットし3x・4x・5xと順に落としていき、トータルでいつもロッド一本分の長さにしています。
またシーズンを通してドライの釣りはほんの僅かしかしませんが、その時には4Xのリーダーをロッド1本半以上長め・ティペットも状況に合わせかなり細めの物まで使用します。
反対にバス釣りのバスバグや大型のポッパーなどを使う釣りではリーダーは0~1Xと太目のリーダーを使用し、長さはロッド一本分以下で釣る事が多いです。

最後に一番大事なことは前に述べてある結び目の締め込み方ですが、まずどの結びでも共通して図のように結び目の体裁を整え、ライン同士の摩擦を防ぐために唾液等をつけます。そして、結び目の直ぐ近くを両手の指にからみつけて持ち、ゆっくりと徐々に(五段階くらい)締めていき、最後に思い切り締めて、切れないことを確認して出来上がりです。4Xのティペットがうまく結べていれば簡単には手で切ることが出来ないくらいの強度が出るはずです。
何回も繰り返して練習して感じをつかみ取って下さい。
ビギナーズラックと言う事もありますし、大物スーパーレインボーは誰にもヒットするチャンスはあるのですから、その時に悔しい思いをしないためにも、しっかり学習する事をお勧めします。