芦ノ湖の霧

■霧

梅雨時の箱根の名物は霧・・・芦ノ湖が突然濃い霧に覆われることが多々あります。
昨今はGPS(Global Positioning System の略)と呼ばれる地球を周回する4個以上の衛星により自分の位置等を正確に知ることができるシステムや、ロランC(Long Range Navigation の略)と言った便利なシステムがありますが、少なくてもボートで沖に出る時は簡単なコンパスぐらいはタックルボックスに1個入れておくことが賢明です。

もしもコンパスを持たずに霧に遭遇してしまったら速やかに岸辺の見える所に避難して霧の晴れるのを待つか、岸辺伝いに帰るようにします。何も見えなくなってしまったら慌てずに耳を澄まして岸辺に打ち寄せる波の音や鳥の声、車やクラクションの音などを頼りに、まずは岸辺に辿り着くようにします。
エンジン付きのボートでは時々エンジンを切って耳を澄まし同じ様に物音を聞きながら岸辺に向かいます。この際にスクリューを岩などにぶつけないよう水深に注意しましょう。立ち混んでいる釣り人にも注意が必要です。
岸辺が確認できたら見失わないように岸伝いにボートを進めますが、例え岸辺に着いても何処に着いたのか自分の位置が解からなければ右に進めばよいのか、左に進めばよいのか解かりません。普段から岸辺の岩や木の特徴や景色をポイント名といっしょに覚えるようにしましょう。

濃霧の中で警笛を鳴らした遊覧船に遭遇してしまったら、やたらに逃げ回らずに船を止めて遊覧船をやり過ごすようにします。大きな遊覧船はレーダーを備えていてこちらの位置を確認しながら走っていますので、遊覧船の方から衝突してくるようなことはありません。

湖上での霧による視界は陸上の2分の1だと思ってください。そして暗くなると更に見えにくくなりますので、充分余裕をもっていつもより早めに帰港するようにします。

湖の中央を狙うトローリングでは普段から霧の無い時でもコンパスを見ながら霧の中を想定した釣りをするようにしましょう。
一寸先が見えない霧の中でも釣りをすることができるようになります。地元のベテラン釣師は風と波とコンパスを見ながら巧みに船を操り霧の中でも何の苦もなく釣りする人がいます。これはあくまでもベテラン釣師の例ですので、強風や濃霧の際のボート釣りでは初心者は特に無理をしないようにお勧めします。

濃霧の際に怖いのはパニックです。コンパスはご存知のように地球の磁気で動く物で、すぐ近くに鉄製品などの磁気を帯びた物を置かない限り、勝手に回ることはありません。もし回っているとすればそれは自分のボートです。ここでも普段から湖を横断する際など、方向を定めたら渡り切るまでの所要時間を計って覚えるようにすればパニックを防ぐことができます。
例えば、百貫の鼻からノザキへ帰ろうとする場合です。
まず百貫の鼻から北東方向に15分程度走れば、成蹊から山のホテル辺りに着くはずです。そこから右へ岸沿いに進めば赤い水中鳥居を経てノザキへと帰港できます。
霧の中での視界が悪いほど、霧の中で迷っている時間は大変長く感じるものです。
どんな場合も冷静な判断が必要です。