■芦ノ湖のブラックバス
昔のバス釣り
その昔、芦ノ湖の解禁が5月1日だった頃、解禁当初はヒメマス釣り一色だったことは他でも述べましたが、ブラックバス釣りはどうだったのでしょうか。当時、ブルジョア階級と呼ばれていた一部の裕福な人達が箱根に逗留した際、船頭付きでブラックバス釣を楽しむ(当時としては一番贅沢な遊びの一つでした)ということ以外には本当に僅かな地元の釣り好きだけがバス釣りをしていました。今でも現役の先輩達の話によると、「昔は※1九頭竜さんが終わるまではバス釣りは始めなかったものだ」とかホトトギスが鳴きださなければバスは釣れないなどと言い継がれ(湖畔でホトトギスが鳴くのは6月の上旬)、当時ブラックバスは夏だけの釣り対象魚でした。実際に今でもバスが1番よく釣れるのは、バスが子育てが終えた梅雨時から盛夏にかけてです。
夏の釣りとされていた要因には、当時は釣の技術があまり進んでおらず簡単に釣れる最盛期だけバス釣りをしていた、バスの繁殖を自然産卵だけにだけ頼っていた為にスポーニングの時期を保護していた、餌釣が主体だっだったために餌となる手長エビやミミズが早期には育ちきっていなかったことなどが挙げられます。
私が子供の頃にはバスのサイズは、大バス・中バス・小バス・と3段階に分けて呼ばれていました。
既に当時から先輩達に「小バス(約25cm以下)は逃がしてあげるものだ」と今でいうキャッチ&リリースを理由も解からないままに教えこまれたものでした。このように芦ノ湖では古くからブラックバスは大切な魚として扱われてきました。
冬季のバス
芦ノ湖のバスは冬期水温の高い深場か湧水の出ているような場所で冬眠をします。
この時期にも絶対に口を使わないわけではありませんが、たとえ釣れたとしてもファイトも無くあまり面白い釣りとは言えないでしょう。
ハッキリ言って、芦ノ湖は他の湖沼に比べると時期を外したバス釣りは非常に難しいといえます。
今では「梅とサクラの間に鯉(バスや小魚を含む全ての温水魚)が動く」といわれ、岸辺のあちこちに鯉の姿が見え出し、湖畔に桜の花が咲きはじめる頃からポツポツと釣れ始めます。
産卵
そして5月に入り水温が15度前後になると、日当たりの良い浅い岸辺(1~5メートル水深)で一斉に産卵を始めます。その後、完全に子育てを終えたバス達が湖の岸辺全体に散り始め、バスに追われたベイトのウグイやオイカワが水面をピョンピョンと逃げ回るのが見えます。
夏季のバス
梅雨の頃から夏にかけてが芦ノ湖のバス釣のトップシーズンといえます。温水魚と言われ高水温を好むバスですが、盛夏の水が沸いてしまうような熱い時期は苦手なようです。
水温の低い深場や日差しを遮るウイードの中、倒木や岩陰などに日差しを避けて隠れてしまい、狙って釣るには一番面白い時期ではありますが、近年ソフトベイト禁止の芦ノ湖では魚を探るのがやや難しくなる時期でもあります。
空が澄み秋の気配を感じる頃になるとバス達は冬眠に備え体力を整える為に本能的に餌を捕食するようになり、その頃が1年を通じて最も引きの強いバスのファイトが楽しめます。
秋季のバス
そして水温の下降により、湖の水がターンオーバー(水温が下がり水の比重が均一になって水温躍層が壊れること)する頃になると、マスやワカサギの活動が再び活発になり、逆に温水魚たちはそろそろ冬眠に入り、翌年の春になるまで冬眠場所に身を寄せるようにして、静かに冬を過ごします。
芦ノ湖にはこんな大物が!!
2002年4月14日56.50cm3.82kgという超大型ブラックバスが釣れました。