■芦ノ湖天気の言い伝え
富士颪の3日後には雨か雪になる
台風以外には1年のうちに何回も吹かない冬の季節風で湖尻から箱根町湾に湖を縦に吹き抜ける。いつもは静かな箱根湾が大荒れになる風で、雪を背負った富士山の山肌をかすめて吹き降りてくる冷たい風を地元の人は富士オロシと言っているが、不思議とこの風が吹いた三日後には天気が崩れて雨か雪になる。
伊東ナライが吹くと天候が崩れる前兆
北東風や東風を総称して地元の人はナライと呼んでいるが、それでもやゝ駒ケ岳方向にむけて吹く風のことを伊東ナライと呼んでいる。この風も天気が崩れる前兆と昔から言い伝えられている。
むこううら(対岸)が近いと雨
湖の対岸がくっきりと近くに見える時は天気が崩れる。
富士山が傘を被ると次の日は雨
富士山に一重から三重の傘雲がかゝることがよくあるが、次の日は雨が降ると言われている。
御殿場線の汽笛が聞こえると天気が崩れる
昔の話だが御殿場線が蒸気機関車だった頃対岸の山を越えて汽笛の音が聞こえてくることがあったが近いうちに天気が崩れるといわれていた。
今では自衛隊の富士演習場の大砲の音が良く聞こえたり、聞こえにくかったりたりするので関係があるか試してみてはいかがですか?
富士山が雪帽子をかぶると、台風は来ない。
富士山の山頂に初雪が降る頃には、もう日本には台風は上陸しない。
地元の漁師さん達は台風シーズンが完全に去った目安していたそうです。
あかっぱら時化(じけ)
春の終りの大きな低気圧のことを、箱根地方では「あかっぱら時化(じけ)」と言っています。地元の漁師や私達のように自然相手に仕事している者にとっては天候にはかなり神経を使います。普通の台風ですと遥か日本の南方上に位置する時から大騒ぎしていますが、いざ台風がやって来ると騒ぎの割には肩透かし、といったことが多いのです。ところがあかっぱら時化と呼ばれる春の大きな低気圧はたいした前触れも無く突然やって来て台風よりも大きな被害を被ることが多く、地元の人達には台風より恐れられています。
ちなみに地形的に風当たりの強い大涌谷や駒ヶ岳の山頂では風速が60メートルを超える事もしばしばで、地面に敷いてあるコンクリートの平板が剥がれて飛んだこともあるくらいです。
ちょうどこ時期、水の中ではウグイや鯉・鮒・ブラックバスなどの温水魚が産卵の為にスタンバイしています。この低気圧がもたらす風雨により勢いづいた湧水や川の流れに真っ先にウグイが産卵を始めます。以上のようなことからこの低気圧のことを「あかっぱらじけ」と呼ぶようになりました。
ちょうど4月16日・17日の大嵐がそれに当り、当店の直ぐ脇にある清水の沢湧水にもウグイの先発隊が産卵にやって来ました(写真左)。まだ型も小さく群れも少ないのでこれからが本番だとおもわれます。
昔は、あかっぱらの寄り(産卵)は4月と5月を繰り返すと言われ、産卵の早い年は4月の内に、遅い年は5月に入ってからと、農作物の裏なり・表なり・のように1年起きに繰り返すものだと聞いていましたが、近年の気候の変化のせいか今ではその年々でまちまちのようです。
ウグイの産卵の後、一足遅れて鮒・鯉・バスなどが産卵体制に入っていきます。