格言

■格言

7羽の七面鳥は一番後ろから撃て

海外のハンターの間では「七羽の七面鳥は1番後ろから撃て」と言われている格言があります。
「七羽の七面鳥が1列に歩いていたら、他の七面鳥に気づかれないように最後部の七面鳥から撃てばより多くの獲物が取れる」と言うものですが、群れを見つけたら出来るだけ群れを散らさないように猟をしろという教えで、魚釣に関しても言えることです。
芦ノ湖では盛期になるとマスの群れがよく水面にボイルすることがありますが、殆どの釣り人がライズの向こう側にキャストし、群れの真中にルアー・フライをトレースし魚をヒットさせようとしています。
確かにヒット率は高いのですが、これでは群れの真中でヒットした場合、他の魚は大パニックを起こして一気に深みに沈んでしまいます。これでは例えヒットしたとしても、その一匹を釣り上げただけで終ってしまいます。
上手な人ほど群れの手前から、手前から、静かに間引くように釣り上げるのです。

逃がした魚は大きい

昔から逃がした魚は大きいと言いますが、実際に釣り人の話を聞いてみると更に面白いものです。
まだ釣り上げてもいない魚の大きさを「・・・cmもあった」などとcm単位で話しています。しかも、日を追うごとに「それよりもう少し大きかったかもしれない」など止どまることがありません。多分、1年も経つ頃には50cmの魚が1mになっているかも知れません。
かく言う私もかつて大きな魚を逃がしたことがあります。今から10数年前、中禅寺湖の小寺ヶ崎でのことでした。岬の先端30m程の所からホローの風に乗せ思い切りミノーをキャストしました。着水したところで、グリグリッ グリグリッと2回程リトリーブした時のことです。「ガツーン!」と根掛かりのような大きなアタリがあり、その直後にとてつもなく大きなブラウンが右に大きくジャンプしました。まるで砲弾のような尖った頭をした金色のブラウンです!そしてもう1度、今度は全くの反対側に魚体を全部表してジャンプしました。その途端、無情にも13cmのウッドベイトがブラウンの口から外れ、竹トンボのようにクルクルと空に舞い上がりました。辺りを見回しても証人になってくれそうな人は見当たりません。明らかに80cmオーバーはあったのに・・・やはり話だけになってしまいます・・・。
その次の日にもう1度同じ場所を攻めまくったのは勿論のことです。
以来、中禅寺湖を訪れる度に必ず小寺ヶ崎を攻めています。まるで「犯罪者は現場に戻る」という諺の様にです。
しかし、柳の下のブラウンにはお目にかかれるわけもありません。今でもその時の様子がビデオテープを再生するように鮮明に蘇ってきます。本当に惜しい思い出となっています。
釣りや狩りの格言は万国共通です。
海外でも「逃がした魚の話しをする時は両手を縛って話せ」という格言があります。ハイ、ごもっともです! 
また、よく雨男、風男などと言われ「アイツと一緒だと天気の良い日に当たったことがない」などと、釣仲間には敬遠されがちな人がいますが、やはりこれも海外ではレインメーカーとかウィンドメーカーと言われ同じ様な意味合いで使われています。
たまたま偶然が重なっただけで汚名を着せられたご当人には本当に気の毒な話ではありますが、こうして誰かに原因を転嫁して悪天候を羨み、皆で納得する手段としているわけです。

私(野崎茂則)は滅多に逃がした魚の話はしませんが、中禅寺湖のブラウンは本当に大きかったのです・・・。